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ATENOTEは、創業100年以上、北陸随一の取扱い樹種と歴史をもつフルタニランバー株式会社運営の「地域材活性化プロジェクト」です。

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取り組み事例

ホリエアツシ・ギター製作記①

ストレイテナーのホリエアツシさんと能登ヒバ材でオリジナル・ギターを作ることになりました!そこで連載記事として完成まで追っていきたいと思います。

ーー ギター製作に立候補していただいたのがSago New Material Guitarを主催する高山さん。今回は高山さんをまじえていろいろお話をうかがいたいと思います。Sagoは今年(’24年)で会社設立20周年だそうですが、それにしても凄いクライアント・リストですねー。スピッツ、イエローモンキー、ポルノグラフィティー、ピロウズ、サカナクション、人間椅子、Novelbright‥。

高山 たしかに世代もジャンルもまんべんなく皆さん愛用してくださってますね。

ーーこの広がりはどんなところから?

高山 最初のうちは飛び込みでミュージシャンにアプローチしてたんです。そしたらまずピロウズの真鍋さんが「じゃ、作ってもらおうかな?」って言ってくれた。真鍋さんは今でも使ってくれてるんですけど世代が同じということもあり、いろんなミュージシャンを紹介しれくれた。そのミュージシャンがまた別の人を紹介してくれて‥というかんじです。

古谷 僕は高山さんにはいつかアプローチしたいと思ってたんです。それが昨年、ギターのイベントで実現して、その後はインドネシアにご一緒させていただいたり。

ーーインドネシア?

古谷 向こうの木材工場とかに行ったんです。

高山 そういう所を古谷さんから紹介してもらって。けっこう腕のいい職人がいたりもするんですよね。

ーー古谷さんは木材会社の立場から林業の問題について、インタビュー・ページなどでもたびたび触れられています。楽器を作る立場からだといかがでしょう? この20年で木材事情はどうなったと感じているのか?

高山 すごく変わりましたね。ま、木材ってその時々の気候や環境の中で育ってるんで、同じ産地の同じ木材でも違いは出るんですが。

ーーその違いって音の、ですか?

高山 音も、違ってきますね。木の目のつまり方=密度が違うと。昔からネック材はメイプル(かえで)みたいに硬い木がいいとされてるんですけど、最近のメイプルは目が詰まってなくてそんなに硬くない。いわゆるビンテージ・ギターに使われていたような材はもうないんです。

ーーとなると作る側としては新たな方向を模索することになる?

高山 僕はそっちです。いましめ《﹅﹅﹅﹅》みたいにギター・ヘッドに入れてる文字があるんですけどね。The Sound of New Material and New Idea って。新しいもので新しい楽器を作って新しい感動のループを作りたいんです。

ーー素晴らしい! ただミュージシャン側からは「愛用のビンテージ・ギターみたいな音が欲しい」といったリクエストもありそうですが。

高山 めっちゃあります(笑)。自分自身、昔の音も好きですしね。でも肝心の材がもうない。だからそれでもビンテージにこだわる方はお断りして、今から新たに生み出したいものがある人はオーダーください、というスタンスをとってるんです。

ーー新たに生み出したいものがある、という部分は古谷さんと似ていますね。林業の振興のために今まで使われなかった国産材で楽器を作ったらどうか? と提案してきた古谷さんと。

高山 そうなんですよ。僕も国産材で楽器が作れないかと試行錯誤していたこともあり。もっとも僕は楽器から音楽が始まると思ってた。でも古谷さんと出会って「たしかにその手前には山があって、木を木って、というのがある」ということに気づかされましたが。で、まずは、「こんな材、探して」みたいなやりとりから始めたんですけどね。

古谷 「木材ならお任せください」というかんじで(笑)。

ーー古谷さんのところは家具メーカーさんからのオーダーもあるようですが、高山さんのオーダーはそれとは違ってたりしました?

古谷 いい木目のものを含め、求められるハードルは家具より高いかもしれないですね。

高山 木目といっても楽器の表面に貼る“見せる木目”と“音のための木目”があるんですけどね。

古谷 高山さんがすごいのはある樹種を楽器に生まれ変わらせる、そのマジックなんです。

高山 1回やってみてあかんかった材もいっぱいありますよ(笑)。ただ第一線でやってるミュージシャンに、試しに1ツアーとか使ってもらってその感想を聞けたりするのはでかいですね。まあそんなかんじで和材では栗や楓を手配してもらって今回、ホリエさんのギターをヒバで作ることになったんです。

古谷 インタビュー・ページでホリエさんを取材させていただいた、まさにその取材現場でご本人に話したんです。「素晴らしいギターを作られながら、新しいチャレンジもしているビルダーの方がいる。国産材への取り組みもされている」と高山さんのことを紹介して。

(インタビュー時のホリエさん)

ーー高山さんはホリエさんのことは?

高山 僕にしてみれば若手ですが(笑)もちろんストレイテナーのことは知ってます。

古谷 テナーは’00年代に入ってからですからね。いろんなフェスに出るようになったのは。

高山 僕は自分がベースを弾くんでヒナッチのことは前から知ってましたが。

古谷 アートスクールつながり、というのもありますよね? 戸高さんもSAGOギターを使ってるし。

高山 あ、そうですね。いろいろかぶってる(笑)。

ーーちなみに高山さんはヒバ材は?

高山 今回が初めてなんです。杉はあるんですけど、強度の問題でソリッド・ギター(エレキに多いボディ内に空洞のないギター)には無理でした。で、ヒバもどうかなあと思ったんですけど、軽く触ってみたかんじで大丈夫だとわかりました。

ーー初めての材に接するときって、どんな風に判断していくんですか?

高山 見た目、持った時の重量、タッピングしたときの音でなんとなく「こうだろうな」っていうのはあります。あとは削ったときに「あ、これはアレに似て削りやすいよね」とか「ちょっと柔らかすぎへん?」とか。ヒバは素直だったですけどね。

ーー素直?

高山 加工しやすそうだったし、いいものになりそうなかんじで。

(能登ヒバ材に触れるホリエさん)

ーーホリエさんとの打ち合わせについても教えてください。

高山 一度、尼崎の工房まで来ていただいたんです。で、ピロウズの話で盛り上がりました(笑)。「真鍋さん、使ってますよねー」って。未だに真鍋さんが使ってくれるというのはホリエさんにとって安心材料だったかもしれないですね。そのあとデザインとかの打ち合わせをして。

ーーホリエさんのメイン・ギターといえばギブソンのSGが有名ですが。

高山 ホリエさんからもSGやL6といったワードが出ました。それを発展させて、シングルカッタウェイにして、さらにジャズベみたいにボディをスラント(並行四辺形)させて‥。わりとありそうでなかった形になったんじゃないですかね? 

(SAGOのギター説明を聞くホリエさん)

ーー今後。

高山 デザインのOKが出たら型を作ります。ボディやネックの外周とかのデータをCADで作って、それが出来たら木工に入ります。

古谷 今回のプロジェクトではまずデザインが決まるまでの紹介。そして今後は製作中の紹介記事があって、3回目は完成したときに取材させていただきたいと思っています。

高山 ぜひぜひよろしくおねがいします!

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