木へのこだわり
能登ヒバとは?
能登ヒバとは、能登地方でアテと呼ばれている植物のことです。アテは東北地方に広く自生しているヒバと同じ種類の植物ですが、 能登地方では古くからこの名前で親しまれています。能登産のヒバであることから能登以外の地域では能登ヒバと言われることが 多いですが、能登地方を代表するブランド木材として全国的にも広く知られるようになり、平成5年から木材流通の段階でアテを 「能登ヒバ」と呼ぶこととされ、アテ=素材名、能登ヒバ=製品名として区別されています。
能登ヒバのルーツには様々な説がありますが、最新の研究結果からは縄文時代から能登地方で自生していた可能性が非常に高く、 現在では能登半島で広く造林されており、造林面積は12,317haで輪島市、穴水町を中心に分布しています。
アテの最大の特徴として独特の強い香りが挙げられます。独自成分ヒノキチオールを含んでおり、耐久性が高く水湿にも耐えるので、 住宅の土台や水廻りに用いられる事が多い木材です。
そんな優れた特性を持つ能登ヒバですが、苗木から成長するまでには50〜80年という長い年月がかかります。 その間、3世代ほどに渡り人による定期的な手入れが必要とされています。 「人の手入れ」が重要な能登ヒバですが、植林の場とされている里山は今、とある危機に直面しています。
とある“危機”に直面している里山
森林に人間の生活(手)が加わり、伐採・と還元を繰り返す「持続可能な環境」を、里山と呼びます。「豊かな自然」と言うと、人間の手から離れた印象を受けるかもしれませんが、里山は人間と自然が築き上げた絶妙なバランスの上に成り立っているのです。
ところが近年、日本国内の林業は衰退の一途を辿っています。林業だけで生計を立てるのは難しく、後継者不足も深刻化しているのが現状です。このまま山離れが進んで里山の管理が行き届かない状態が続くと、明るい林内を生息場所とする植物が減り、食料を失った動物たちが人里に現れて田畑を荒らし、農業にも悪影響をもたらします。
長い年月をかけて人と自然が最適なバランスを築き上げてきた里山を守るためには、地域の木材利用を促進し、需要を増加させることで「林業を活性化」させる必要があります。
使用木材へのこだわり
一般的な楽器は、その材料として天然の高級銘木が使用されます。
しかしアテノオトでは、「人と自然のより良い関係を未来へつないでいく」という考えから、
地元のサスティナブルな木材(能登ヒバ)を使用することに徹底的にこだわっています。
針葉樹である能登ヒバを楽器材として活用するため、このような工夫をしています。
改質水と抗火石の木材乾燥技術
「woodbe(ウッドビー)」で乾燥
使用木材の経年変化による反りや割れを防止するため、woodbeによる乾燥処理を行うことで、 楽器材に適した材に変化させます。
※woodbe(ウッドビー)とは
- 新たな木材乾燥の方法「改質水と抗火石による木材乾燥システム」のブランド。
乾燥時間を大幅に短縮し、ヒビやねじれの少ない高品質な木材を作り出す技術です。
フルタニランバー株式会社をはじめ、石川県内3社で推進しています。
材を圧縮し硬化させる
材を50%程度、物理的に圧縮硬化させることで強度をあげ、ギターのネックなど反りや耐久性に敏感な箇所に使用します。木材を強力なプレスで圧縮し、熱処理で固定化させることにより、木材全体を均一に圧密化して硬度を向上させる製法です。 薬剤は一切使用していません。圧縮率は変えることが可能で、圧縮状態が元に戻ることはありません。圧縮後は、重さはそのまま比重のみが変わり、柔らかい針葉樹を広葉樹にも負けない表面強度と曲げ強さへと改質することができます。
楽器材としての検証
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重さと密度
密度が低く軽い材料です。持ち運びや長時間の演奏に適しています。
楽器に使用される木材の樹種と比重
能登ヒバ 0.41 アルダー 0.4-0.5 コア 0.63 マホガニー 0.65 アッシュ 0.69 メープル 0.7 ローズウッド 1.04 エボニー 0.85-1.09 (引用:府中家具工業協同組合 木材図鑑)
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強さ
通常使用される楽器材の広葉樹に引けを取らない強度を持ちます。また圧縮した場合、更に強化できます。
表の項目は荷重破断する時の最大応力。数値が高い程優れています。
圧縮(MPa):上下で圧縮をかける力
せん断(MPa):正反対に力を加え滑り破壊を行う時のカ
曲げ(MPa):一点から力を加え曲げようとする力
曲げヤング係数(GPa):木の粘り強さのカ樹種 圧縮
(MPa)せん断
(MPa)曲げ
(MPa)曲げ
ヤング
係数
(GPa)能登ヒバ 30.5-43.1 6.5-9.3 58.9-82.4 7.5-10.3 メープル 53 12.6 108 12.6 マホガニー 46 8.9 58.9-82.4 10.4 アッシュ 51 13.4 125 12.2 (引用:一般財団法人 日本木材総合情報センター)
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耐朽性
耐朽性はウッドデッキなどに使用される材と同等。腐りにくく長持ちします。
D1(耐朽性大) 能登ヒバ米ヒバ / ヒノキ / スギ / カラマツ / ベイヒ / ベイスギ / ベイマツ / カラマツ / サイプレスパイン / ケヤキ / クリ / クヌギ / ミズナラ カプール / セランガンバツ / アピトン / ケンパス / ボンゴシ / イペ /ジャラD2(耐朽性小) それ以外の樹種 (引用:日本農林規格(JAS))
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音響
物性比較では無垢の能登ヒバ材は振動の減衰が低く吸収しにくい傾向にあります。即ち能登ヒバは音が響きやすい性質をもっているといえます。
対数減衰率:物は振動を加えた後、放置するとその振動は徐々に小さくなっていきます。数値が大きいほど振動は速く収束します。逆に小さいと振動は長続きする為、音が響きやすいといえます。
比動的弾性率:物体の粘弾性を記述する物理量の一つです。高いほど音を吸収しにくいといえます。即ち、音が響きやすいことに繋がります。
図内の樹種「圧縮ヒバ」は、圧縮した能登のことで、%はその圧縮率です。
(引用:石川県工業試験場での持込み材による検査結果)
まとめ
白木状態での木目の美しさと独特の香り、また軽量でありながら音質は重厚感を持ち響きやすい傾向が見られます。
また、音の立ち上がりが際立って早く、楽器用材として優秀な素材ということがわかってきています。
ただしあくまで楽器であるため、その樹種の持つ性能はあくまでトーンウッドとしての個性(キャラクター)です。
音の良し悪しはどうかお手に取ってお確かめください。
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