取り組み事例
後藤正文・能登材ダイアログ①-企画
ーーストレイテナーのホリエアツシさんに続き、ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下アジカン)の後藤正文さんが能登の木材で音楽スタジオの内装とエレキギターを作ることとなりました。その製作過程を追う第1回である今回は、そこに至るまでのことをお聞きしたいと思います。まずは古谷さんと後藤さんとの接点から語っていただけますか?
古谷 きっかけはまさにホリエさんだったんです。ホリエさんへのエレキギターを作って贈呈式を2024年の11月に行いました。その時、ちょうど後藤さんが静岡県藤枝市に建設する音楽スタジオ「MUSIC inn Fujieda」のクラファンをしている時期でした。ホリエさんもプロジェクトを応援していたので話してみたんです。「後藤さんに能登の木材を提案したいです」って。そしたらその場で繋いで頂いて、すぐ「嬉しいです」って返事をいただけた。帰りの電車に乗っているときにメッセージ読んで思わず声が出ました。うれしかったです。
ーー繋がる時は繋がるもんですねえ。
古谷 ほんとですよね。で、次に「ぜひスタジオの建築現場を見てみたいんですけど」って話したところ、2024年12月、静岡県の藤枝でのライヴ翌日に現地を案内していただくことになって。町を歩きながら色んな想いをお聞きしました。

MUSIC inn Fujiedaの現場にて
ーーATENOTEもそうですが、点ではなく面で地域を知る、というのも大事な経験ですよね。
古谷 そこから2025年1月、MUSIC inn Fujiedaを造る建築家の光嶋裕介さんとお会いしました。どこにどういう材料を使うか話し合うために。その時、後藤さんから「次は能登に行きたい」って話されたんです。「能登地震は我々にも出来ることがないか考えていた」って。そして2月、後藤さんと光嶋さんと能登の輪島市門前地区を訪れました。この時には“まちづくり協議会”、“のと復耕ラボ”、“のと古材レスキュープロジェクト”の方々にも会いました。



ーー古材レスキュー・・解体予定の建物から活用できそうな木材を救う、といったことですか?
古谷 はい。現在、3万棟の解体が決まってる中でまだ30棟分ぐらいしかレスキューできてないようで・・。

ーーちなみにそれだけの建物を解体したあとはどうするんですか?
古谷 サラ地にするところまでしか決まってません。果たしてそれが正解なのか? という疑問を持つ町の人もいるんですけどね。能登に多い希少な100年住宅をなんの感情もなく解体して、木材は全て産廃あつかいで捨ててしまう。それでいいのか、っていう。江戸時代に植えられた木を使って大切に守られてきた家も多いわけで。
ーーとなると古材レスキューというのは重要なプロジェクトですね。家自体からして確かに需要や破損の程度にもよると思いますけど、解体以外に補修という道もあるとは思いますが。
古谷 明治時代に建てられた蔵をリノベするMUSIC inn Fujiedaは、揚げ屋という作業で一度建物全体を持ち上げて基礎を固めて古い建物をそのまま活かす、という残し方らしいんです。いまはそういうことも可能みたいで。能登に同行された光嶋さんも「こうしたら残せるよね」って色んなアイデアを話していました。スタジオにはこの古材を活用することになりました。
ーー古き良きものをいかに残すか、という部分で能登とMUSIC inn Fujiedaには似たものを感じます。
古谷 まさに、まさに!共通の想いを感じました。そして視察時は他にもこの地域の色んな場所を見てきました。この地域にある総持寺祖院(元曹洞宗総本山)なんかは700年以上の歴史がある重要文化財なんですけど、’07年の地震で被災して、 ’21年にようやく再建。それが去年の地震でまた被害を受けて再復興しようとしています。

古谷 仮設住宅も訪問しました。能登出身の社員の知人が生活されているので中も見せて頂きました。ご夫婦2人で6畳一間、1Kのお部屋で生活されているのですが、とても狭くて・・。後藤さんから「あの状況が頭から離れない。今後も能登にコミットさせて下さい」って後にコメントいただきました。

ーー能登の木材でギターを、というのもコミットの一つですよね?
古谷 はい。それまでは藤枝のスタジオに木材を提供することだけかと思ってたんですが、後藤さんが「自分の初期のギターがパワー不足で引退状態にある。それを能登の材料で作れたら嬉しいです」って言ってくださって。その後、「能登は能登でも自分が行った門前町の木で作りたい」ということになり、古材レスキュープロジェクトに相談したんです。「ギターになりそうな材はありませんか?」って。
ーーそして見つかった?
古谷 はい。門前に住まわれていたご夫婦の家の、縁側に使われていたケヤキ材を紹介してもらいました。厚みを調べたら55mmとギターを作るにはバッチリの寸法で、幅も理想的なサイズでした。

ーー縁側の木で、っていうのがいいかんじですねえ。
古谷 古材レスキューを行う江崎さんは「材の一つ一つに持ち主の方の顔が浮かびます」って言ってましたけど、この材も縁側でお茶でも飲んでいたんであろう平和な姿が浮かびますね。
ーー今回、能登ヒバは使わないんですか?
古谷 ATENOTEは能登ヒバのプロジェクトでもあるんで圧縮材をネックに使います。で、ケヤキはボディに活用します。門前町には能登ヒバの元祖と言われる樹齢470年ぐらいと推定される木もあって、そういうご縁もあるんですよね。ちなみにギターは3本作る予定です。その中から後藤さんの分と、残り2本はギター・メーカーさんとウチで所有して、この試みを知らせていくのに使いたいと思っています。是非、後藤さん達と一緒に能登が元気になる企画にしていきたいです。

(インタビュー/構成 今津 甲)
その他のプロジェクト
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能登ヒバ以外の樹種や石川県以外の地域材で連携した事業の紹介です。 -
後藤正文・能登材ダイアログ
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんと能登の古材とヒバ材を活用してMUSIC inn Fujiedaの内装とオリジナル・ギターを建築製造します。完成までの連載記事です。
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ブラジルの伝統武術カポエイラで使用される楽器を国産材で作っています。 -
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ストレイテナーのホリエアツシさんと能登ヒバ材でオリジナル・ギターを製作!完成までの連載記事です。
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上村さや香
能登ヒバアンバサダーに就任した2023年ミス日本 みどりの大使「上村さや香」との取組みの紹介です。 -
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「島村楽器」による環境への取組「Evergreen Project」に参加しています。 -
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