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ATENOTEは、創業100年以上、北陸随一の取扱い樹種と歴史をもつフルタニランバー株式会社運営の「地域材活性化プロジェクト」です。

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出会いは徳でもある

ユニコーン ギター

手島いさむ

1963年生まれ。’87年ユニコーンでメジャー・デビュー。バンドという枠組みの中であらゆることを試す。‘93年の解散前、’09年の再結成後のいずれもでNO.1アルバムを残している。’12年には川西・EBIと電大を結成。他にCMや舞台、ゲームの音楽制作、様々なミュージシャンのライヴサポートなども行っている。

個性があるのが木

手島(ヒバ材のエレキを生音で弾きながら)ギターに使う木、昔の野球のバットみたいに圧縮する技術もあるんですか?

古谷 あります。これまでギターに使われてきたのはほとんど広葉樹だったんですけどね。

手島 あ、そうなんですかー。

古谷 対してヒバとかの針葉樹はそのままだと硬さがあんまりないので。

手島 6本の弦を張ると張力が80kgぐらいかかるからねー。それに耐えうる材でないと。

古谷 なのでそこを補うために圧縮技術を使ってます。そのギターは圧縮率40%です。

手島 圧縮バットはバットの表面に樹脂を圧着させてるけど‥。

古谷 表層だけだと戻ってきちゃうんですね。だからウチでは中まで全部圧縮してます。

手島 ま、俺も学生時代使ってたのは圧縮とかじゃなく竹バットだったんだけど(笑)。

古谷 竹、ですかあ?

手島 竹を寄せ木細工でバットの形にした奴。学生が木のバットをバンバン折るわけにはいかないし、金属バットは芯に当たらないと手の痺れがハンパない(笑)。だから竹っていうのはけっこうよかったんですよ。

古谷 ギターでも木以外にいろいろありますからね。カーボン製とか。

手島 俺も一時期スタインバーガー(ある時期まではネックにカーボンを使用)のエレキを使ってました。ネックが反るようなこともないあれを。あとアコースティック・ライヴではオベーション(ボディが強化プラスティック)のギターを使ってたり。だから木以外の素材の良さも知ってます。だけど木には個性というものがある。個性があるのが木(笑)。しかも木のギターって1000本つくっても何十年かたったら残ってるのは数本なんですよ。

ーーああ、そういうもんなんですね。

手島 やっぱり壊れるから。(奥田)民生が持ってる’50年代のレスポールとか、どんな環境でも壊れず故障を起こさずやってきた奴なんですよ。イチローのようにね(笑)。

ーー手島さん自身はどんなギターが理想なんですか?

手島 俺は新しいギターでいいんです。ピッチ(音程)も正確だし。で、それを使っていくうちに傷がついたらそれは勲章だと思ってる。スタッフに「す、すいませーん。ちょっと傷つけちゃって」って言われても「あー、いいよ、いいよ」ってなる。わざとぶつけるスタッフはいないわけで(笑)。ただ理想とするギターはあるんです。

ーーそれは?

手島 ’90年代にアーニー・ボールで作られたヴァン・ヘイレンのギター。ネックはバーズアイ・メイプル。

古谷 要は木の節が集まって模様のようになった奴ですね。

手島 これが手でコンと叩いただけですごい響くんですよ。一定の音は出にくいけど音の拡散力がすごい。

古谷 節のない木は導管を通ってスッと音が抜けていきますが、節が沢山あることによって複雑な広がりになるんでしょうね。

手島 で、ボディはバスウッドの表面にメイプルを貼って、あとはネジの締め方で音を調整する。全体は無塗装でライフルの銃床に使うオイルを染み込ませてある。ピックアップ(ギター用マイク)の正体だけは分からなかったんだけど。

楽しい、というのが大事

ーーどうやってそんな情報まで知ったんですか? まだネットとかも普及してなかった時代の話なのに。

手島 いろんな楽器メーカーと関わってると蛇の道は蛇で(笑)。

ーー楽器メーカーとの?

手島 たとえばヤマハだったら浜松(本社)に行って、全世界の代表が集まる前でギターを弾いたり。DGっていうデジタル・アンプの開発で,プログラミングする人の横で「ここはもう少しこんな音にしたい」って試聴を繰り返したこともある。あと持ち運びできるアンプあるじゃないですか?

古谷 あー、はいはい。

手島 あれの初期の開発に加わったこともあるし、業界関係者向けのキーボードの発表会のバックで弾いたこともある。島村楽器とかと仕事したこともあるんですよ。新製品が出るたびにインストラクターやって。ああいうのってこっちがあんまりがんばると子供たちが「あんなの無理」ってなっちゃうんで(笑)、一緒にセッションとかもして。

古谷 島村さんはウチもお世話になっていて、金沢店にはヒバ材で囲まれた試聴ブースを作らせていただいたり、店員さんを森にお連れして木を切る現場を見ていただいたり。みなさん「あの経験で売り方が変わった」って言ってくれて。

手島 金沢店はこのあいだ、民生と一緒にギターを見にいきましたよ。地震のチャリティーで。

古谷 ありがとうございます!

ーーそれにしても手島さん、ギターを作る側とは様々なお仕事をされてるんですねー。

手島 スター・ギタリストではないが職人のオジサンでもない、その中間ぐらいのかんじで(笑)。

ーーどうやってその方向に?

手島 俺の場合、横に奥田民生という天才がいるんでね。人の心をぐっと掴んで離さないあの声の持ち主が。となるとこっちはちょっと違うことをやらないといけない。

ーーいやー、でも今回改めて『手島いさむ セルフコレクション』を聴いてすごいなあと思いましたけどね。たとえばユニコーンとハードロックバンドだったBIG LIFEでは全くベクトルが違う。そのユニコーンでの手島さん作詞曲の詞もやばい。さらにいまユニコーンのメンバーとやってる電大も最高のグルーブだし。

手島 ライヴに関していうと、ユニコーンはショーだから押さえないといけないところもある。逆に電大はセトリをどれだけ遊べるか。もう一生懸命やって「うまい」とか「すごい」って評価をもらうのは自分的に違うんですよ。ただただお客さんに「楽しかった」って言って帰ってほしい。もちろんレベル以上のことをやった上でね。話を戻すと、楽器メーカーさんとのいろんな仕事、っていうのも誰かと会ったら仕事になっちゃった、っていう楽しさなんですよ。そこは今回も同じ。材木のスペシャリストに会うことなんてないから。

古谷 僕らもちょっと前まではミュージシャンの方と直接お会いすることなんてありませんでした。木材を、それを使った楽器を弾く方まで繋げようと思ってこのATENOTEというプロジェクトを立ち上げるまでは。

手島 こっちにしてみるとね、今回の出会いの先にチェーンソーのスペシャリストとの出会いまであるかもしれない、という期待もあり(笑)。自分のギターにしてもね、ここで一から国産材で作ってみるのも広がりそう。俺の高校のころからあるNC加工(プログラミングで木を加工する技術)も今やすごい精度になってる。それを使ったアイデアもあるし。

古谷 なんでも絶やさないことが大事ですからね。NCも、手刻みも。日本の職人さんって総じてレベルが高いし。

手島 これまでも海外メーカーのギター「あれ? 日本で作ってんじゃん!」って現場も見たことあります(笑)。そういう生産者のマインドも受け止めながら新たなギターを作ってみる。そうしたら木こりのオジサンにも会えるかもしれないし。

古谷 そりゃあ、もう!

手島 オジサンと「タヌキはねー」とかいう話になって(笑)。人と人との出会いって自分が生きていく上での知見になる。それは俺にとって得になる。損得の得でもあるけど、徳を積む、ことでもある。ギターも出会い。いま使ってるメインのエレキは以前、ユニコーンでも電大でもアイドルの仕事でも、なんでも1本で対応できるように作った。最初に話たヴァン・ヘイレンのギターを参考にしながらね。でも今は、「このギターはこの曲に合う。この曲には合わない」でいいと思える余裕もある。そういう今、ヒバ材で1本作ってみるのもおもしろいかもしれませんね。能登ヒバがどのような形になっていくのかルック‥違うな、ウォッチしながら。

(インタビュー/構成 今津 甲)

ユニコーン website https://www.unicorn.jp/

電大 website https://den-dai.com/

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