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ATENOTEは、創業100年以上、北陸随一の取扱い樹種と歴史をもつフルタニランバー株式会社運営の「地域材活性化プロジェクト」です。

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木には壮大なロマンがある

シンガーソングライター

斉藤和義

1966年生まれ。'93年「僕の見たビートルズはTVの中」でメジャー・デビュー。翌年、『ポンキッキーズ』で使われた「歩いて帰ろう」で注目を集める。「歌うたいのバラッド」「やさしくなりたい」といった代表曲を持つ一方、楽曲提供も多数。また奥田民生、浜崎貴司らとカーリングシトーンズ、岡村靖幸と岡村和義など、バンド〜ユニット活動もしている。'25年1月27日、彼らと共に『能登半島復興支援チャリティーコンサート〜空に星が綺麗プロジェクト〜』開催。

ギターは精巧に出来ている

ーーさて、斉藤さんというと数々の歌が思い浮かぶと思いますが、ギターへの造詣も深いですよね。

斉藤 そもそもギタリストになりたくて楽器を始めて。最初のころはギターを聴かせたいから歌おうって感じでした。

ーー現在は歌とギターの関係、どんなかんじなんですか?

斉藤 たとえばレコーディングの時、ギターを抱えて弾くと声が出る、みたいな。もう自分の中でセットになっている。だから歌だけ録るときも録音されないようにギターを弾いてます。そうしないとうまくリズムもとれないんで。

ーーそして、今回はシンガーソングライターで能登ヒバアンバサダーの上村さや香さんも交えて聞いていきたいと思います。その辺り、上村さんは?

上村 私も、レコーディングのときは歌録りでも必ずギターを持ったり、空中でストロークをしながら歌っています。逆にギターを持たずに歌うと、なんとなくピッチがずれてしまったり、うまく歌えなかったりします。

ーー斉藤さんは、ギターを弾くだけじゃなくて、コロナ禍の頃から自分で作るようになったとか?

斉藤 ギターの改造ぐらいは中学からやってたし、DIYが好きでテーブルとかCD棚も作ってたんですけどね。そういう為の木材が家にあったし、コロナで時間が出来たんで作ってみたらハマっちゃって。今までに10本ぐらいは作りました。

古谷 10本も! メーカーさんから1本作るには何ヶ月もかかるって聞いたんですが。

斉藤 コロナ禍は1日10何時間もやってましたから。その後、ライヴでも数曲使ったり。MCネタに「こんなの作った」とか自慢だけして。

古谷 つくるギターは毎回コンセプトを変えたりしてるんですか?

斉藤 ホロウ・ボディ(アコースティック・ギターのようにボディが空洞のエレキ)にしてみたり。いろいろ作ってるうちに「これをやるにはこういう工具が必要なんだ」とか分かってきて、工具が充実してくるとさらに作りたくなるんですよ。

ーーギター1本作るにもいろんな工程がありますからねー。

上村 私も、2023ミス日本みどりの大使の任期中に、ATENOTEを通じて自分の国産木材ギターを作ったんですが、その過程を見に行きました。体に合わせてボディの大きさや指板の太さを決めたり、それを仕上げる作業を見せてもらったり。

古谷 すべてカスタムで作ったよね。自分で材料選んだりして。僕は木材屋なので材料が一番気になるんですけど、斉藤さんはどうやって調達しているんですか?

斉藤 ネットで売ってるところもあるんですよね。アッシュとかエボニーとか定番の木をギター部材として売っていて。あとは近所の木材屋さん。余っちゃった端材とか置いてあるんですよ。材に直接、チョークで値段が書いてあるような扱いされてたけど。まさかそれでギターを作るとは思ってないでしょうね。

古谷 斉藤さんが突然、木材を買いに来たらびっくりしますね(笑)。ウチの会社、昔は1m以下くらいの大きさの端材は捨ててたんですよね。もったいないので最近はとっておいて活用してます。ちなみに何の樹種ですか?

斉藤 イチョウとか杉とかポプラとか。(背後に飾られた能登ヒバのギターを指して)イチョウはわりとこのヒバに近いかんじで、目も詰まっていて。ちょくちょく木材屋さん覗きにいってます。

古谷 国産材も活用してるんですね。

古谷 ちなみに木材を選ぶときは特性、見た目、価格とか、何を目安にしているんですか?

斉藤 全体ですかね。ポプラ材を選んだときは「フェンダーはもともとポプラをメインに使おうとしていた」っていう話を知ってたとか。別に決まりはないんだから使う木はなんでもいいはずなんですけどね。

古谷 能登ヒバも元々は楽器に使われていませんでした。でも音はいいんじゃないかってスピーカーやサウンドルームの内装に使ってる人がいたので、それがヒントになって楽器プロジェクトをはじめました。

斉藤 アンプメーカーのSHINOSのユーチューブ見てたらヒバで作ったのをやってたよね。

古谷 あ、見ていただいてありがとうございます!

ーードラムも作ってますよね。

古谷 はい!岐阜県の中津川のkoike drumsさんと最初に作りました。

斉藤 ドラムって普通はプライウッド(合板)を丸めて作りますよね。

古谷 そこを伝統的な桶づくりの技術で無垢材を組み合わせて作るんです。鳴りが暖かくていいんですよねー。

斉藤 へーっ。

古谷 中津川はヒノキ風呂の職人さんが多いんですけど、その技術を伝えるためにドラムを作ってる方がいるんです。ATENOTEでは日本の職人さんの技術の素晴らしさも伝えていきたいって思ってます。

ーー斉藤さんもご自分でギター作りすればするほど職人のワザを実感する場面、あるんじゃないですか?

斉藤 あります、あります。 ネックとボディのセンター合わせが数ミリずれただけで、あとから弦がうまく張れなかったりチューニングが合わなかったり。持ちたくないギターになってしまう。ホント自分で作って初めて「こんなに精巧に出来てたんだなあ」って思いますね。塗装にしても最初のうち適当に塗ってたら、ぜんぜん売ってるギターのようにピカピカにならない。調べて下地こそ一番時間をかけないとダメだって分かったり。その辺り安価のギターでもちゃんとしてますからねえ。

古谷 今までお作りになった中で一番お気に入りのギターは?

斉藤 実は作ってる時が一番楽しいんです。出来てみると「あー、ここが‥」ってなって。でも1本だけ、雑誌の企画でギター作りの先生と一緒に作ったのはさすがにちゃんとした出来で、それはレコーディングでも使ってます。

能登で元気をもらった

ーー自作ギターでレコーディングまで、ってすごいですね。

古谷 他にそんな方、中々いないんじゃないですか。 材もご自分で調達されてるし。次は山で木を切るところからどうですか?(笑)。

斉藤 (笑)

上村 私、能登ヒバの伐採現場を見せてもらったことがあるんです。

斉藤 ヘーッ

上村 だから、このギターには、林業従事者の方の特別な想いとかを感じています。

斉藤 弾いてみてもいいですか?

上村 え!もちろんです。

斉藤 (ギターを鳴らして)へー、いい音だねえ。

上村 弾いていただけてうれしいです。

斉藤 これ、出来て何年目なんですか?

上村 2年ぐらいです。

斉藤 まだ若いのにしっかり音が出てる。ヒバはスプルース(アコースティック・ギターでは定番の米トウヒ材)の代わりでも成り立つんですね。

古谷 そうなんです。アコギでも良い音がしたのはうれしかったですね。別の楽器ですが、3月(2025年)に河合楽器さんとグランド・ピアノを作ったんですけど、ピアノの心臓部と言われる音響板に能登ヒバを使っています。これも普通はスプルースがなんですけど、しっかりピアノ部材として成立して嬉しかったです。

斉藤 このあいだ能登に行ったんですけど、空港を降りたところから森が多くて。そういえば、あれが能登ヒバだったのかなあ。

古谷 そうかもしれませんね。自分も能登に向かうとき、よく目にします。でも実は、能登の森はスギのほうが多くて、大体スギ8割、ヒバ2割くらいです。

ーー斉藤さんが今回、能登に行かれたいきさつは?

斉藤 今年の初めにチャリティーのライヴをやって以来、ずっと行きたかったんです。で、その後のツアーで石川県に行って能登の空港から輪島、珠洲とかを回りました 。チャリティーで集まったお金をなるべく学校のことに使ってほしくて、輪島の教育委員長ともお会いして。そしたら、逆にこっちが元気をもらっちゃったんです。もともと人口が減ってたところに地震で学校が4つぐらい合併しないといけない、っていう話をしつつも目がものすごいキラキラしていた。復興の先しか見てない感じで。

ーーたしかに現地で頑張っている方は、みんなキラキラしているかも。

斉藤 途中、水害にあったスーパーにも行きました。

古谷 輪島市町野の『もとやスーパー』さんですね。

斉藤 うん。店長さんもすごい元気でたくましいなぁと。ほかに能登でお話した皆さんも本当に前向きで。東日本大震災の時もそうだったけど、自分の身に起きたんじゃないとなかなか想像が追い付かない。でも例えばこれが自分の身に起きたとすると、これまで自分が大事にしてたギターが1本なくなっただけでも生きていけないぐらい悲しくなっちゃいそうなのに。想像を超えるような災害だったけど、能登にいって逆に自分が元気をもらいましたね。それと、本来、海だった場所に出来た道路を通ったんですよ。

ーー隆起した海底の上を通っている?

斉藤 そう。元防波堤を見ながら逆方向に海。信じられない光景でした。

古谷 あの辺りは、漁港も隆起して漁師さんの船が着けなくなったり。

斉藤 ナビ通りに行ったら通れない道が2箇所ぐらいありましたね。

古谷 林業も、すごい被害で‥。切りに行けなかったり、その木を切る人も能登から避難して少なくなってます。お世話になっていた製材所も全壊して廃業になってしまいました。そして能登は今、約4万5千棟の家屋を解体しています。解体現場から思い出がつまった貴重な木材をレスキューするプロジェクトがあって、その応援もしています。古材でギターも作っています。

斉藤 ニューヨークに僕が’90年代から行ってるカーマイン・ストリート・ギターっていう楽器屋があるんですよ。そこは現地の歴史的な建物、たとえばチェルシー・ホテルをリフォームしたときに出た木とかでギターを作っている。ルーリードやボブ・ディランも使っていて、僕も1本買わせてもらった。それが数年前に映画になってたのを思い出した。

古谷 能登も100年住宅と言われる古民家には今じゃ絶対とれないような立派な木材も多いんです。その木材はたぶん数百年前に植えられた木。それが引き取り手もないまま産業廃棄物として捨てられてしまう。

斉藤 もったいない。そういえば一見普通に見える家にも公費解体って札がついてた。

古谷 家に使われてた木にも大きな価値がありますよね。木材屋としてそれを伝えられたらと思っています。

斉藤 元々考えていたストーリーがあるんですよ。ギターができるまで、みたいな。ギターって部屋にポンと置かれてたりするけど、もともとは木。家具や見えないところに使われたりしていたその一部がギターになった。その木が育つまでには何十年、何百年とたってる。その前はちっちゃな種で。それは風で運ばれてきたものかもしれない。同じ1本の木にもいろんな人生があるんですよね。そういうのを絵本にしようと思ったけど、まずはそういう文章を書いてたら、「Endless」という曲になった。MVもストーリーに沿ったアニメで。そういうことを考えると木には壮大な歴史、ロマンがある。古材はもともとは家だったけど、それが第二、第三の人生につながってほしいですよね。

(インタビュー/構成 今津 甲)

斉藤和義 https://www.kazuyoshi-saito.com/

上村さや香 https://www.centforce.com/profile/t_profile/kamimurasayaka.html

(参考:上村さや香さんとATENOTEの活動 ⇒ https://atenote.com/act/projectname/missjapan/ )

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